酒飲んで酔っ払っても、誰かに暴力なんてぜったいに振るわないし酷いことも言わない。腹の底ではクソだと思ってる目上の人間にも敬語を継続するし、パイオツカイデーなA女E女がとなりに座ってもセクシャルなハラスメントしない。
どんなに酔っ払っても、俺は俺として変わらない。凛としたもんよ。
ただ酔っ払うとある種の恐怖心が消え、とてもイノセントな気持ちになってしまう。これが厄介。それはつまりどういうことかと言うと…
例えば昨日も夕方にベロベロに酔っ払いながら、長男と家の前でドッヂボールをしてたんだけど、
長男が突然、家の2階にあるベランダを指差して
「お前、あそこから侵入できる?」
と言った。
そんなでかい家では無いけども、2階となればそれなりの高さである。落ちたらヤバい。
ただ俺はこの時ベロベロに酔っていて、さらに息子に尊敬されたい気持ちがMAXになっていた。
やめときゃいいのに気づいたら塀によじ登って換気扇の出っ張りに足をかけていた。「よう見とけやー!!」とか叫んだ気がする。
そこからベランダに飛び移り、かなりギリギリで柵にぶら下がった。長男が悲鳴をあげていた。
…困ったことに、ぶら下がったまま身動きが取れなくなってしまったのである。ぶら下がったまま長男に「誰か大人の人を呼んでき下さい!」と絶叫してしまった。
落ちれば良くて打撲、悪くて骨折、最悪は絶命だな〜、あと万一それなりに無事であっても身内や友人らには永遠にバカ認定されるし、さらに入院なんてことになれば職場の同僚らにどんな説明すりゃいいんだetc…ぶら下りながら割と冷静に色々考えてしまった。
でまあ結果的に力を振り絞って、なんとか自力で這い上がり、見事、ベランダからの侵入に成功した。人は追い込まれると秘めた力を解放するってのはマジだな。あるはずのない筋力が働いて、脳内エンドルフィンが出た。
いやしかし本当に安堵した。怖かった。久々にちゃんと、しっかりと怖い思いをした。助かった瞬間に勝俣ばりの「シャー!」が出てしまったのは言うまでもない。生を実感したよ。
長男も感動したようで「お前すごいな!」と飛び跳ねていた。(「でも、落ちるのも見たかった」と呟いていた。ふふっ、よくばりさん)
とまあ、酒で酔うとこんな感じになる。
他人を傷つけはしないが、自滅に向かって走り出してしまうのだ。今回ほどのスペクタクルは稀だが、これに近い危険に自ら飛び込んだことは二度や三度ではない。
まあ、基本的に落ちたらヤバい高さに登っちゃうよね。いい景色見ながら飲みたい!って潜在意識があるんだろね。あと俺はまったく野球に興味ないけど阪神タイガースのファンなら、まっさきに道頓堀に飛び込む人種だわ。